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ADHDの子どもとゲーム依存|上手に活かすデジタル活用法

「うちの子、ゲームばかりで勉強に集中できない…」そんな悩みを抱える親御さんは多いのではないでしょうか。特にADHD(注意欠如・多動症)の特性を持つ子どもは、刺激の強いゲームやデジタル機器に強く惹かれる傾向があります。しかし、ゲームを一方的に“悪者”にしてしまうのはもったいないこと。実は、上手に使えば「集中力」「判断力」「自己肯定感」を育てるきっかけにもなるのです。本記事では、ADHDの子どもとゲームとの関わり方、デジタル依存kを防ぐ家庭での工夫、そしてゲームをポジティブに活かすヒントをお伝えします。

ADHDの子どもがゲームにハマりやすい理由

脳の報酬系と刺激への反応の違い

ADHDの子どもは、脳の「報酬系」と呼ばれる神経伝達の働きに特徴があります。

達成したときに出るドーパミンの量やタイミングが一般的な子どもと異なり、即時的で強い刺激を求めやすいのです。ゲームは、短時間で得点やレベルアップといった報酬が得られるため、この報酬系を強く刺激します。そのため「もっとやりたい!」という気持ちが強くなりやすく、結果的にゲームへの集中が続くのです。これは発達障害特性による脳の仕組みの違いであり、本人の意志の弱さではありません。

まずは、この“仕組み”を理解することが、関わり方の第一歩になります。

集中力のムラと「ハイパーフォーカス」現象

ADHDの子どもは集中力の波が大きく、興味がないことには注意が続かない一方で、好きなことには驚くほど深く集中します。

この現象は「ハイパーフォーカス」と呼ばれます。

ゲームは常に新しい刺激があり、明確なルールや結果が得られるため、この特性と非常に相性が良いのです。しかし、集中が続くほど切り替えが難しくなるため、現実の生活リズムに影響することも。親としては「集中してるのに止めさせるのはかわいそう」と感じることもありますが、事前に区切りの時間を決めて“切り替えの練習”をサポートすることが大切です。

ADHDの子どもは集中力の波が大きく、興味がないことには注意が続かない一方で、好きなことには驚くほど深く集中します。事前に区切りの時間を決めて“切り替えの練習”をサポートすることが大切です。

ゲームに熱中する子ども

現実よりも「成功体験」が得やすい環境

ADHDの子どもは、学校や集団生活の中で失敗体験が積み重なりやすい傾向があります。

その点、ゲームの世界はルールが明確で、努力すれば必ず成果が得られ、誰かに評価される仕組みがあるのが魅力です。つまり、現実よりも「自分はできる」という成功体験を得やすいのです。この“成功体験の積み重ね”が自己肯定感を支える一方、現実世界とのギャップを感じる要因にもなります。

家庭では、「ゲームで頑張れたね」「集中できてすごいね」と、ゲームの中の努力を現実でも評価してあげることで、子どもの自信を現実にもつなげることができます。

ゲームとの付き合い方で気をつけたいポイント

時間制限ではなく「見通し」を持たせる

「1時間だけね」といった時間制限は、ADHDの子どもにはあまり効果がない場合があります。時間の感覚をつかみにくく、制限が「突然の中断」と感じてしまうためです。代わりに、「このステージをクリアしたら終わりね」といった“見通し”を共有すると、納得して切り替えやすくなります。タイマーやデジタル時計を活用し、終了時間を視覚化するのもおすすめです。発達障害の特性を理解し、制限よりも「予告」と「見える化」でサポートすることで、親子のストレスを減らし、良い関係を保つことができます。

タイマーやデジタル時計を活用し、終了時間を視覚化するのもおすすめです。発達障害の特性を理解し、制限よりも「予告」と「見える化」でサポートすることで、親子のストレスを減らし、良い関係を保つことができます。

タイマーをセットする子ども

禁止より「選ばせる」ルールを

「ゲームは禁止!」というルールは、一時的には効果的でも、反動が大きくなりがちです。ADHDの子どもは興味の切り替えが難しいため、強制的に奪われるとストレスが爆発することもあります。おすすめは、禁止ではなく「自分で選ぶ」形にすること。たとえば「宿題を終えたら30分」「運動したあとにゲーム」など、順序をセットにして“やることと楽しむこと”を関連づけると効果的です。選択肢を与えることで「自分でコントロールできた」という感覚が生まれ、衝動的な行動も少しずつ減っていきます。

依存サインに気づく家庭のチェックポイント

ゲームが生活の中心になり、食事や睡眠に支障をきたすようであれば注意が必要です。特に「ゲーム以外の活動に興味を示さない」「終わりを伝えると強い怒りを見せる」などのサインは要チェック。家庭でできる工夫として、1日のスケジュールをボードに書き出し、「ゲーム」「宿題」「自由時間」をバランスよく配置するのがおすすめです。放課後等デイサービスなど外部のサポートを利用するのも良い方法です。第三者の関わりが入ることで、家庭だけでは難しいルールづくりもスムーズに進みます。

デジタルを上手に活かす方法

学習ゲーム・運動ゲームで「達成感」を伸ばす

ゲームの中には、学習要素や身体を動かす要素を含んだものも多くあります。ADHDの子どもにとっては、「遊びながら学べる・動ける」環境が非常に効果的。例えば、リズムに合わせて体を動かす運動ゲームは、脳と身体の連携を高めるトレーニングになります。発達障害の特性に合わせて、成果が“見える”ゲームを選ぶことで、達成感と自己効力感が育ちます。親が一緒にプレイして「ここまでできたね!」と声をかけることで、ゲームが“褒める練習の場”にもなります。

「遊びながら学べる・動ける」環境が非常に効果的。例えば、リズムに合わせて体を動かす運動ゲームは、脳と身体の連携を高めるトレーニングになります。

縄跳びをする子どもたち

 

「時間の見える化」で自己管理をサポート

ADHDの子どもは「時間の感覚」がつかみにくいという特徴があります。そのため、気づけば数時間ゲームをしてしまうことも少なくありません。ここで役立つのが“見える化”の工夫です。例えば、タイマーや視覚的な時計を使って「残り時間が減っていく様子」を見せたり、1日のスケジュールをホワイトボードに書き出して「ゲームをする時間」を明確にすること。デジタルツールにも、使用時間を管理できるアプリがあります。こうした「時間を可視化する工夫」は、依存を防ぐだけでなく、自己管理能力の向上にもつながります。親子で一緒に“時間のルール”を作ることが大切です。

1日のスケジュールをホワイトボードに書き出して「ゲームをする時間」を明確にすること。親子で一緒に“時間のルール”を作ることが大切です。

スケジュールを確認する親子

親子で一緒にプレイして“つながり”を作る

ゲームは子どもだけの世界になりがちですが、親が一緒にプレイすることで大きな意味を持ちます。ADHDの子どもは注意や感情のコントロールが難しく、失敗や負けを受け入れるのが苦手な場合もあります。そんなときに、親が隣で「惜しかったね」「次はこうしてみよう」と声をかけることで、ゲームが“感情の練習の場”になります。また、親子で同じ楽しみを共有することで、信頼関係が深まります。デジタルを「孤立の原因」にせず、「つながりのツール」に変えることが、現代の発達障害支援の新しい形です。

FAQ(よくある質問)

Q1. ADHDの子どもにゲームをさせるのはやめた方がいいですか?
A1. 完全に禁止する必要はありません。むしろ「達成感」「集中力」「計画性」を育てる機会にもなります。大切なのは、時間のルールと見通しを共有すること。親子で「どう使うか」を話し合いながら、生活全体のバランスを保つことがポイントです。

Q2. 依存にならないようにするにはどうすればいい?
A2. まず「ゲーム以外にも楽しいことがある」環境を整えましょう。外遊びや運動、工作など、成功体験を得られる活動を取り入れることが大切です。タイマーやスケジュール表を使い、“時間を見える化”することも効果的です。

Q3. 放課後等デイサービスではゲームは使えますか?
A3. 事業所によって異なりますが、デジタル機器を教育的に活用する施設もあります。運動や学習をサポートするツールとしてゲームを用いることで、楽しみながら脳と身体の発達を促すことが可能です。

Q4. ADHDの子どもにおすすめのゲームはありますか?
A4. 「達成目標が明確」「短時間で完結」「身体を使う」タイプのゲームがおすすめです。リズムゲームや運動ゲーム、知育系アプリなどが向いています。反対に、終わりがなく延々と続くタイプのゲームは注意が必要です。

Q5. 親がゲームに関わると子どもが嫌がります…
A5. まずは「一緒にやろう」ではなく、「どんなゲームをしてるの?」と聞くだけでもOKです。興味を示すだけで、子どもは“理解してもらえた”と感じます。少しずつ関わりを増やすことで、親子の信頼関係が深まります。

ADHDの子どもにとって、ゲームやデジタルは“悪”ではなく、使い方次第で成長の味方になります。報酬系の特性を理解し、ルールを共有しながら、成功体験を現実にもつなげていくことが大切です。親がルールを押し付けるのではなく、子どもと一緒に考える姿勢が、依存防止と自立支援の鍵になります。デジタルを上手に取り入れた療育も、子どもの意欲を引き出す効果的な方法です。ゲームを通じて「できた!」を育てる。それが未来への一歩です。お気軽にお問い合わせください。

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