Q&A

運動療育が必要な子どもとは?

運動療育を必要とするDCDを抱える子どもたちについて教えてください!

最近よく聞かれるようになった発達性協調運動障がいってなんですか?
DCDとは、発達性協調運動障がい(DCD:Development Coordination Disorder)の略です。近年、発達性協調運動障がいについての少しずつ関心が高まっています。なるべく分かりやすくご説明しますね。

「発達性協調運動障害[DCD] 不器用さがある子どもの理解と支援 金子書房」参照

 

運動面で気になる子どもの実態

発達性協調運動障がいは、神経発達障害群の中の運動障害群に位置付けられ、注意欠如・多動性障がい(ADHD)、自閉症スペクトラム障がい(ASD)、限局性学習障がい(SLD)との併存性が高いことが知られています。

DCD(発達性協調運動障がい)の子どもたちは、幼児期から暦年齢や知的能力に比べて、協調運動を必要とする日常生活動作が著しく劣る状態にあります。例えば、不器用さが目立ったり、全身運動がぎこちなかったり、手先の器用さがなかったり…。
その結果、成功体験がなかなか得られずに、チャレンジしていく意欲をなくしてしまうかもしれません。私は、そこが1番問題となる二次的障がいだと考えています。

 

発達性協調運動は、精通した医師に診断してもらって初めてはっきりします。ここでは、発達性協調運動障がいが疑われる症状の中から関連がありそうな実態を簡単に説明します。

まずは、低学年で学校の先生が気になる実態から

低学年

関連がありそうな症状(粗大運動)

  • 姿勢が崩れやすい
  • 長縄跳びでタイミングよく入れない
  • 縄跳びができない
  • 短距離走で加速ができない
  • 転びやすい
  • 力が弱くてふにゃふにゃしてしまう
  • リズム体操・ダンスの振りが覚えられない

 

低学年

関連がありそうな症状(微細運動)

  • 箸がうまく使えない
  • 食事を口からこぼしやすい
  • 文字がマス目からはみ出してしまう

 

低学年

関連がありそうな症状(学校生活全体)

  • 自信がない
  • あきらめやすい
  • 意欲がない
  • おとなしい

 

続いて、中学年で学校の先生が気になる実態は、

中学年

関連がありそうな症状(粗大運動)

  • 姿勢が崩れやすい
  • 水泳でなかなか進まない
  • 動きがぎこちない
  • リズム体操・ダンスの振りが覚えられない

 

中学年

関連がありそうな症状(微細運動)

  • プリントがきれいに折れない
  • 文字がマス目からはみ出してしまう

 

低学年

関連がありそうな症状(学校生活全体)

  • 自信がない
  • 友達が少ない
  • おとなしい

 

最後に、高学年で学校の先生が気になる実態は、

高学年

関連がありそうな症状(粗大運動)

  • 姿勢が崩れやすい
  • 狙ったところにボールがいかない
  • 鉄棒、跳び箱など器械運動が苦手
  • 動きがぎこちない

 

高学年

関連がありそうな症状(微細運動)

  • リコーダーの演奏が苦手
  • コンパスで円を描くのが苦手
  • 家庭科の裁縫や調理が苦手

 

高学年

関連がありそうな症状(学校生活全体)

  • 一人でいることが多い
  • 休み時間は教室にいることが多い
  • 友達が少ない
  • 体育以外の教科も苦手意識がある

 

集団活動で負けたときの原因を作ったとして責められる子どもたち

DCDを抱える子どもたちは、体育や運動あそびの場面では、うまくいかないことや失敗することが多く、鬼ごっこでは鬼になると他の子供をなかなか捕まえられず、逃げるときはすぐに捕まってしまい、結果的に鬼の役をし続ける姿がみられます。

縄跳び、跳び箱、鉄棒などの器械運動も苦手で、練習しても上達が遅く、自信を無くしてしまいます。

ドッジボールやサッカーなどの集団活動では、属しているチームやグループの仲間から負けたときの原因を作ったとして責められたり、チーム決めで最後まで選んでもらえなかったりすることもあり、疎外感を感じることもあります。

実は、このような問題は、昔からありましたよね?

それを運動神経が悪いとか、仕方がないこと、として放置されてきた歴史もあるのですが、その背景に子どもがDCDを抱えていたという可能性は十分にあり得ます。


もっと発達性協調運動障がいについて教えて!

  • 協調性とはなんですか?
  • 多動性や衝動性のある子どもでは?
  • 情緒面やコミュニケーションにも問題?

 

1. 協調性とはなんですか?

ノートの枠に沿って字を書くために必要な協調性とは?

手と手指のコントロールだけではなく、姿勢のコントロール、上肢の安定性、筋緊張の調節などが求められます。つまり、器用にものを操るためには身体全体と手指の協調性が必要となります。

このような操作能力は、学習面では字を丁寧に書くこと、作品を丁寧に作ること、生活面では指先を力を入れたり、力加減をコントロールする力となり、物を丁寧に正確に扱う力につながっていきます。

また、目と手の強調や手と手指の動きの分化(それぞれを分けて使う)が成熟していないことでの不器用さも考えられ、このような場合、学習の達成感が得られにくく意欲が低下することもあります。

 

2. 多動性や衝動性のある子どもでは?

力やスピードのコントロールが苦手

DCDは、AD/HDの30~50%、SLDの50%、特異的言語障害の30%に併存する。特にDCDとAD/HDの併存については以前からDAMP症候群(Deficit in Attention, Motor control and Perception)として報告されています。
多動性や衝動性のある子どもでは、力やスピードのコントロールが苦手なため物を落として壊してしまったり、用紙を破ったりちぎったりしてしまうことがあり、自己嫌悪に陥ったり、失敗体験によって嫌になり、物を扱う経験が少なくなりがちです。

触覚過敏がある場合には、持ったり触ったりする行為そのものが不快となり、行為そのものを避けようとする場合もあります。

3. 情緒面やコミュニケーションにも問題?

読み書きや発語など言語に関する困難さ

DCDが疑われる子どもの中には、読み書きや発語など言語に関する困難さがみられることもあり、そのままにしておくと、コミュニケーションや情緒、行動上の問題など日常生活全般に影響してしまいます。

失敗経験が多いため、自信や自己イメージや自尊心の低下をもたらし、何かにチャレンジすることへの苦手意識が出てきて、消極的な態度になるかもしれません。

 

運動面の困難さは周囲に理解されにくいことが多い

学童期における運動面で気になる子の実態

  • 立って靴下を履くときにふらつく
  • 片足で5秒以上立っていられない
  • 平均台をうまく渡れない
  • ボールが狙ったところにいかない
  • ドッジボールで当たりやすく、当てることが苦手
  • 長縄跳びでタイミングよく入れない
  • ラジオ体操のときの動きがぎこちない、ふらつく
  • 運動するときに力が入らず弱々しい感じがする
  • 雑巾がしっかり絞れない
  • ハサミの使用や折り紙が苦手
  • 文字がマス目からはみ出してしまう
  • 食べ方が汚い
これまで上げてきたことが子どもに起こると、本人はかなりのストレスを抱えています。おまけに運動面の困難さは周囲から理解が得られづらく、時には周りからのからかいいじめの対象となることもあります。
そのため、DCDなどによる運動面の困難さがある場合は、早期発見、早期支援が大切です!必要であれば、療育計画をたて、専門機関との連携のもとに療育や訓練を行うことを強くオススメします。

 

育む環境

体を器用に動かすことができるようになるためには、各身体部位が協調しながら動きを調節しあう協調運動が必要です。

協調運動が苦手な子どもたちにとって、運動あそびの中で、平均台、ジャングルジム、前回り、的に向かってボールを投げる、ボールを蹴るなど様々な運動を行うことが、各身体部位の動きを分化させる刺激になると考えられます。


  • step.1

    情報収集

    同じ診断名であっても感覚統合の発達の状態は一人ひとり異なるため、ここの状態に合わせた丁寧な評価が必要となります。


  • step.2

    子どもの遊び方や行動の観察

    ご家族から情報収集をするほか、多くの専門家は実際に子どもと関わりながら運動の器用さ、行動のまとまり、コミュニケーション能力など評価を行います。


  • step.3

    アセスメント(評価・解釈)

    様々なアセスメントを行い、評価結果を整理し、子どもの主訴を中心に感覚統合の発達の偏りが子どもの行動にどう関係しているかを解釈します。

  • step.4

    個別支援計画の作成・運動療育スタート

    評価結果とその解釈を保護者にわかりやすく説明し、個別支援計画を作成します。計画に基づき、実際に放課後等デイサービスでの運動療育(運動遊び)を実施していきます。


 

子どもの自己否定感が強くなる前に

これまであげてきたような運動自体の問題だけではなく、先生に言われた通りに動けない、体育の時間に自分の思った通りにならないと感情が崩れる、ルールに厳格すぎて友達とトラブルになる、じっとその場にいられないなどの行動上の問題も上がり、多くの子どもたちが自己否定的な感情をいただきやすくなります。

発達初期のできるだけ早い段階で支援ニーズを把握し、必要な支援を行えることは、子どもの自己評価を低下させることなく、様々な課題への取り組み意欲を構築していくとに関連しています。

お子様の実態で気になることがある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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